絵画は額縁と一体化した装飾物

ヨーロッパのルネサンス期から19世紀中ごろまでに描かれた絵画は、建築や装飾、インテリアや家具の様式と合わせて額縁も一体化した装飾品として扱われていたようです。その絵画は宗教的な意味合いもあり、美的な演出をしてみせるための工夫をしていたといわれています。絵画と額縁の関係は、画家や職人とのさまざまなエピソードが残っています。そういった意味で興味の付きな世界であるといえるでしょう。展覧会などでオリジナルの絵を見る時、その額装された姿を見ています。描かれた主題や色彩の織り成す美、構図やマチエールといったものを楽しんでいると同時に、額縁を含めたオブジェとして、そして全体の調和も見ているのです。絵画が画家の手を離れて、個人や美術館の所有物となるとき、それらは美術品でもあり、額装された観賞用の装飾品となるわけです。