祖母スミレの刺繍

祖母の自宅には、額縁に入れられたスミレの花の刺繍作品があります。

これは、祖母が子どもの頃にはじめて糸と針を手にして作り上げた作品であるようです。

祖母としても思い入れがある第一号の自作品として手放さずに玄関の壁に飾っていたようです。

時代とともに、簡単にモノを使い捨てにできる時代がやってきました。欲しいと思い浮かべた商品が、数百円で手に入るような時代です。

食品、日用品、アクセサリー、衣類…、あらゆるものが簡単に手に入ることで、簡単に手放す人々が増えているように感じています。

最近では、日本国内において地球環境保全に向けたプラスチックごみの削減をスローガンとして、店頭でのレジ袋廃止の活動が「レジ袋の有料化」という形ではじまりました。人間というものは一度、覚えてしまった楽はなかなか抜けきれないもので、ついつい買い物袋をもたずに買い出しに出てしまう日々が続いております。

刺繍などの手芸好きの祖母は、身の回りで必要なものはすべて手作りしていました。

当たり前のように浴衣や着物を縫い付け、余った布で買い物などに出掛ける際に便利な小袋を簡単にこしらえておりました。

簡単に必要な品物が手に入ってしまう私たちの生活の中に、生涯大切にしたいモノはなんであろうかと考える日々であります。

私の祖母にとっては自分ではじめて作ったスミレの刺繍作品を生涯大切にしておりますが、自分に置き換えてみると、何も浮かび上がってこない侘しさや空虚感に人生の豊かさについて改めて考えてみたいと考えております。

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