二つの機能をもつ

普通の人が思い浮かべるような額縁の形式は、なんと中世初頭にはあったと言われています。ただ絵画自体が今のような持ち運びできるような形式のものではなかったため、厳密には、さらに経過すること古代ギリシャ後期まで待たなくてはいけません。この頃になると、一般住居にそれらしきものがあるという事が壁画などから伺い知れるようになってきています。しかも、その形状たるや立体的な造りと見まごうばかりの手の込んだものまで散見されています。さらに、持ち運びがされたり壁に掛けられていたりといった、現代のままの使い方もされていることが 、文献などから確認されていると伝えられています。また当時の絵画そのものが一つの独立した存在としてではなく、パネル形式となった祭壇画の一部となっていたため、枠自体が額縁としての機能と各パネルを固定するという二つの機能を兼用するものであったことも分かっているとされています。