古代壁画の縁取り装飾の豊かさ

ポンペイやエルコラーノといったところで出土したフレスコ画やモザイク画ですが、その大半は、壁や床に直接描かれていました。絵画とその周辺とで差別化するために、さまざまな模様によって装飾されて縁どられているのです。このような縁取り装飾はとても豊かです。そして様々な主題の絵画を周りの住空間などと区別しようという行為があって、それによって木枠で絵画を囲って移動し保護するようになったと思われます。その後、絵画を装飾するという目から見たときに、額装という価値が生まれたのではないかというので。額縁というものが生まれる文化は、古代からイタリアを中心に根付いていたと考えられます。エルコラーノの壁画やポンペイで出土したカフェとされる壁画やアレクサンダー大王を描いたモザイク画、円形モザイクにも装飾的な枠が描かれています。