マルガレーテの肖像の額縁

『マルガレーテの肖像』の額縁の上下には、妻の口述体の銘文が記されています。その額縁は、石のように重厚です。そして銘文のように、この作品は、ヤン・ファン・エイクの妻が33歳のときの肖像とされているそうです。

生前に描かれた肖像なのに、まるで遺影のような厳かな空気感が漂っているようです。ヤン・ファン・エイクの描いたこの肖像画の額縁は、もしかしたら墓碑を模して描かれたのではないかと考えられているそうです。

確かに額縁の銘文にしても、その装飾も墓碑に記されているもののようです。ヤン・ファン・エイクが描く肖像画の描写は、とても繊細で緻密なものです。それはまるで生きているようだと絶賛されていたそうです。

墓碑というのは、他界した人のために作られるものですが、そんな墓碑のような額縁に納められているというのは不思議な話です。