北方ルネサンスへのイタリアからの影響

もうひとつのルネサンスなどと称される「北方ルネサンス美術」は、絵画作品をながめるだけでも南ヨーロッパの温暖な地域で創作された作品とは異なる雰囲気が漂っていることは確かなことです。北方ルネサンスが発展した地域は、現在のドイツやオランダ、ベルギーのある辺りと称されておりますが、北方ルネサンス美術には北方の気候を想わせる四季の移ろいや陰影の奥深さを感じさせる作品が多いようです。そこには重みのある写実性や幻想的な世界観が描き出されているようにも感じます。イタリアを中心としたルネサンス美術には古代ギリシャとローマの数学的な理想を描写する傾向がみられることが多いようなのですが、北方ルネサンスは、イタリアからの影響をある程度受けつつも独自の発展を遂げていったようなのです。